【レジ袋有料化】エコバッグは必要?
2020年の夏、レジ袋が有料化となり久しいですが、皆さんは最初にレジ袋有料化の話を聞いたときどう思いましたか?
世間一般的にはかなりの衝撃がありましたよね。
なんとなく「環境への配慮」をタネとして始まったことはわかっていても、
・レジ袋って実際環境に対してどんな影響があるの?
・エコバッグにすることでどんな効果があるの?
・周りの他の国ではどうしてるの?
などなど、よくわからないこともたくさんあると思います。
そこで今回は改めまして、レジ袋有料化とエコバッグをテーマとして少し深堀りしてみようと思います。
プラスチック廃棄問題とレジ袋有料化
レジ袋有料化の背景、そしてエコバッグの普及の裏側には近年世界的に問題となっている「プラスチック廃棄問題」があります。
皆さんも何となく耳にしたことはありますよね。
日本において、プラスチックごみというのは年間およそ940万トンも廃棄されています。
レジ袋においても国民一人一人が一日に一枚使うというくらいたくさんの量が消費されていて、
経済産業省の資料によると、日本国内において年間およそ305億枚のレジ袋が使用されているとのことです。
しかし、実はこんなにたくさんのレジ袋が占める割合はプラスチックごみ全体のおよそ2%程度ですので、
レジ袋を削減したから忽ち環境問題が解決…ということにはなりえません。
レジ袋有料化の最も重要なことは、国民の意識改革であると総務省ホームページから読み解くことができます。(以下抜粋)
「レジ袋は、我々の生活の中に深く浸透し、我々の生活の中にある使い捨てプラスチックを象徴するものと言える。今般のレジ袋有料化の真の目的は、レジ袋を有料化することではなく、そのレジ袋の有料化をきっかけに(レジ袋以外のものも含めて)使い捨てプラスチックに頼った国民のライフスタイル変革を促していくことである。」
ただし、事実として年間で305億枚ものレジ袋が使用されていて、仮にすべてのレジ袋がエコバッグの使用で代替されたとしたら、その枚数分の二酸化炭素排出を防ぐことができます。
これは決して小さいとは言えないですよね。
そして非常に重要なことが、「エコバッグの製造についても二酸化炭素は排出されてしまう」という観点、
したがって「エコバッグは一つを使い続けないと意味がない」ということです。
レジ袋の生産過程でももちろん二酸化炭素が排出されますが、エコバッグもそのほとんどが石油原料の化学繊維のため、
レジ袋と同じように二酸化炭素を排出するのです。
厚手のプラスチック製のもので最低10回、綿製のもので最低50回は使用しないと、
「むしろレジ袋を使った方が環境負荷が抑えられる」なんてことになってしまいます。
皆さんもエコバッグは大切に長く使うことを心がけましょう。
レジ袋有料化の法律はある?
日本のレジ袋有料化について、根拠となる法律はあるのでしょうか?
「容リ法」とも呼ばれる「容器包装リサイクル法」という法律がそれにあたり、施行されたのは平成9年になります。
容器包装リサイクル法7条の4第1項の規定に基づき、
「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」
が改正され、レジ袋有料化が義務付けられました。
(省令の名前長いですね)
当該省令1条にはレジ袋有料化の対象業種が示されており、具体的には以下の通りです。
①商品小売業
②織物・衣服・身の回り品小売業
③飲食料品小売業
④自動車部分品・附属品小売業
⑤家具・じゅう器・機械器具小売業
⑥医薬品・化粧品小売業
⑦書籍・文房具小売業
⑧スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業
⑨たばこ・喫煙具専門小売業
また、2条には有料化となるレジ袋の条件が記されています。
①プラスチック製の買い物袋であること
②持ち手が設けられていること
③以下のいずれにも該当しないこと
(i)繰り返し使用可能であり、かつフィルムの厚さが50マイクロメートル以上であって、その旨が表示されているもの
(ii)海洋性分解性プラスチックの配合率が100%であって、その旨が表示されているもの
(iii)バイオマス素材の配合率が25%以上であって、その旨が表示されているもの
ちなみに、有料化の対象外となるレジ袋も存在していて、以下に当てはまるものは無料で配ってもよいとされています。
(i)繰り返し使用可能であり、かつフィルムの厚さが50マイクロメートル以上であって、その旨が表示されているもの
(ii)海洋性分解性プラスチックの配合率が100%であって、その旨が表示されているもの
(iii)バイオマス素材の配合率が25%以上であって、その旨が表示されているもの
知られざる外国のレジ袋事情
さて、では日本以外の国々において、レジ袋の扱いはどうなっているのでしょうか?
いくつか例を見てみましょう。
フランス
世界的なファッションの聖地として知られるフランス。
ここでは、2016年3月にフランス全土における使い捨てレジ袋の使用禁止が定められました。
袋の提供方法が有償か無償かに関わらず、レジ袋の使用は罰金または禁固刑に処せられることとなります。
そこまでやるか、というのがフランスらしいですね。
ちなみに、使用禁止なのはレジ袋のみではなく、生鮮食品包装用のプラスチックバッグなども使用禁止の対象になっています。
ただし、堆肥などに還元することができるバイオマスを一定以上含むプラスチックは例外です。
※バイオマスについてはまた別のコラムで解説したいと思います。
イタリア
驚くべきことに、なんと美食の国イタリアでレジ袋が有料化されたのは1989年。
およそ30年以上も前のことです。
当時の他のEU諸国と比べてみても類を見ない、圧倒的な早さでした。
それから現在に至るまでの間にも、環境負荷の少ない生分解性プラスチック製以外のレジ袋を禁止するなど、ユニークな環境政策を進めています。
台湾
台湾においてのレジ袋対策は上の二つの国と比べるとまだまだ途上と言えますが、
現在無料のプラスチック製バッグ・使い捨て食品容器などの提供は既に禁止されています。
ただ、無料ではなく日本と同じく有料となっているだけですので、ブレーキをかける狙いだと思われます。
台湾政府は2030年までにレジ袋の提供を完全に禁止することを目標に、2020年から10年間の国家施策を計っています。
実は、世界において既に60か国以上がレジ袋に対して使用禁止・有料化等の施策を実行しています。
日本はその点において少し遅れていると言えますが、先進国としてこれからも環境問題に対して積極的に取り組んでいきたいですね。
蛇足~エコバッグとマイバッグ~
最後に蛇足です。
エコバッグとマイバッグ、日本であればほぼ同じ意味の言葉として使われていますが、
どちらも英語のように見えて実は英語圏の方には通じないと言われています。
「Eco bag」は和製英語、「My bag」はプラスチック製の買い物袋ではなく、自身の持っている全てのバッグ(鞄等)を指すためです。
では、英語圏の方とSustainableな会話をする際、エコバッグやマイバッグをどう表現するのが適切かというと
「reusable bag」
になるそうです。
「再利用可能な袋」という意味になるので、エコバッグやマイバッグの意味そのままですね。
和製英語が通じないというのはたくさんの言葉が輸入されている日本語においてはあるあるですが、
改めて周りの横文字に注目してみると面白いかもしれません。