【レアメタル】ニッケルの基礎
こんにちは!株式会社エコマテリアルです。
今回はレアメタルシリーズの
第7弾としてニッケルについて説明していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください!
ニッケルとは
ニッケルは元素番号28、元素記号「Ni」であらわされる金属です。
主要鉱物は珪ニッケル鉱でステンレス鋼やその他の合金の原料とし、メッキにも用いられています。
ニッケルは当初、アクセル・クロンステットによって初めて元素として同定、分離されました。
ニッケルの名前の由来はニッケル鉱石が銅鉱石に似ていながら銅を分離できないことから、
ドイツ語で「Kupfernickel」日本語で「悪魔の銅」と呼ばれていたことにちなみ、「Kupfer(銅)」を除いて「nickel」としたものです。
「悪魔の銅」をもじっているなんて面白い由来ですね!
ニッケルの生産方法
ニッケルは主に酸化物、硫化物、珪酸塩として自然界に存在していて、ニッケル鉱石は23を超える国が採掘しています。
主な産出国はオーストラリア、ロシア、カナダなどで、日本の周辺にも海底資源としてニッケルが算出されることが知られています。
ニッケルの特徴
ニッケルにはさまざまな特徴があります。そのなかでも大きな3つの特徴をみていきましょう。
- 耐食性が高い
1つめの特徴は耐食性が高いという点です。
500度以下の大気中では海水や淡水をはじめ安定した耐久性を発揮します。これはニッケルの表面の被膜が錆を防いでいるためです。
- 加工性が高い
2つめの特徴は加工性が高いという点です。ニッケルには延性があり、冷間圧延、熱間圧延、引き抜き加工、鋳造が可能で多くの工業分野で利用されています。
- 耐熱性が高い
3つめの特徴は耐熱性が高いという点です。
ニッケルやクロム、コバルト、チタンなどを合わせたニッケル合金の場合は、1000度の高熱に耐えうるほどの耐熱性があります。
身近なニッケル
身近なニッケル製品には以下のようなものがあります。
硬貨
ニッケルは硬貨の原料として使われています。日本の場合は50円硬貨や100円硬貨です。
硬貨は人の手に何度も触れるため、耐食性が高いというニッケルの特徴が生かされています。
また有事に備えて貨幣としてニッケルを備蓄しているともいわれています(ニッケルが兵器等の材料になるため)。
実際に第二次世界大戦前には5銭と10銭のニッケル硬貨が発行されていて、その名目で軍需物資であるニッケルを輸入していたそうです。
形状記憶合金
以前取り上げたチタンとニッケルを1:1とした合金はもっとも一般的な形状記憶合金として知られています。
ニチノールという呼称はニッケル、チタン及び発見された研究所の略称に由来しています。
特性を生かした用途として、歯科用インプラント、電気接点、パイプの接手などがあります。
電池
ニッケルは電池の材料としても使われています。
電動アシスト自転車やハイブリッド自動車のバッテリー、スマートフォンや電気自動車のバッテリーなど、
充電が可能な二次電池 の材料として活躍しています。代表的な電池の特徴は以下の通りです。
・ニッケルカドミウム電池の特徴
・大電流放電・過充放電での耐久性が高い
・密閉構造である
・保守が容易で湿度による影響を受けない
・ニッケル水素電池の特徴
・電池容量がニッケルカドミウム電池に比べてエネルギー密度が高い
・放電効率はニッケルカドミウム電池と同様に放電電流と周囲温度の影響を受ける
他にも、ニッケル合金は高い耐熱性を生かし、ロケットエンジンや航空機、原子炉の部品などにも使われています。
まとめ
今回ニッケルについて学ぶことで新たな見識が増えました!
個人的にはいつも使用している硬貨が、まさか有事の備蓄も兼ねているとは思いもしませんでした。
ニッケルは20世紀に入って需要が著しく増加したためその傾向は今後も続いていくでしょう。
次回のコラムについてもぜひお楽しみにしていてください!