【金属スクラップのその後】湿式精錬とは
皆様、こんにちは。株式会社エコマテリアルです。
今回は当社で行っている「湿式精錬」についてお話していきます。
突然ですが金属スクラップを売った後の行き先を皆さん知っていますか?
金属スクラップを回収した後、リサイクルをするものが大多数を占めます。
実は様々な方法でリサイクルをしています。
今回はその中の一つ、湿式精錬についてお話していきます。
この湿式精錬について、まったくわからない人もいれば、なんとなくわかるよ!って人、名称だけは聞いたことあるな・・・
全ての皆様にわかりやすく簡単に解説していこうと思います。
今回の記事をご覧になっていただくことで、リサイクルについての知識を高められると思います。
それでは行ってみましょう。
湿式精錬とは
まず初めに「湿式精錬」とは何でしょうか。
湿式精錬の定義を見ていきましょう。
湿式精錬とは酸、アルカリ等の水溶液中で処理を行い必要な金属又は不必要な金属を分離する工法
になります。
乾式精錬とは対義的な意味合いになり、精錬という点では同じですが
その工法が違うということになります。
前回のコラムで述べさせて頂きました乾式精錬ですが今回の湿式精錬との違いは
簡単に言うと乾式で精錬を行うのか湿式で精錬を行うのかという違いです。
乾式精錬についてはこちら
分類分けすると火を用いて行う乾式精錬、水を用いる湿式精錬というイメージでよいと思います。
水溶液を用いり金属を分離していくわけですね。
そもそも精錬とは不純物 の多い 金属 から 純度 の高い金属を取り出す過程のことなのですが
湿式精錬はそれらの作業を水を用いて行うことになります。
湿式精錬の中にも分類分けがあり、沈殿分離法、浸出法、溶媒抽出法等があり、
大分類とすると湿式精錬ですが細かく分けると様々な工法があるのです。
必要な金属を溶かした水溶液から更に必要な金属を取り出す工程も
必要になってくることもあります。
『・・・?』どういうこと?
要するに精錬作業を段階的に行っていくこともあります。
例えば私はグレープフルーツが好きなのですが中には種が入っていますよね。
今回はその種の中でも1cm以上の種が欲しかったとしましょう。
じゃあどうしましょうか・・
まずは種を手作業で取り出し、一か所にまとめますよね。
集まった種の中から今度は目視で大体の大きさ別に2パターンに分けます。
1. 明らかに1cm以上ではないもの
2. 1cmには近いが測ってみないとわからないもの
そしたら今度は定規を持ってきて一つ一つ計測します。
1cmの間隔で穴が空いているザルなんかを使う手もありますよね。
存在するのかわかりませんが・・・
そして分け終えたら大きさ1cm以上の種が抽出出来ますよね。
欲しかった1cm以上の種をグループフルーツの中から分別して取り出すことが出来ました。
と、まーこんなところです(笑)
要するに何段階かに分けて作業を行い目的を達成するのです。
手段に関しては定規を使って計測する方法とザルを使う方法と2パターン出てきましたが
どちらも正解です。
このように分離を行う方法は適所で判断、選択していく形になります。
話は戻りますがすべて1回の工程で分けられるわけではないということです。
湿式精錬は様々な方法で分離を行います。
例えば固体から液体にしその後その液体を分離し金属を抽出したりと
必要な金属の特性やどんな形で混合しているのか、対象物によってその方法は様々です。
ろ過、蒸留、分留、再結晶、抽出、昇華等の方法もあり、分離を繰り返して精製していくのです。
乾式精錬のコラムでもお伝えしましたが純度を高めることにってより高価なものへとなり、
価値が向上していきます。
湿式精錬で金属の純度を高めることも出来るのです。
金属のグレード(純度)を高めることで高値で売却することが出来たり、
必要な純物質だけを手に入れることが出来ます。
湿式精錬は危険!?
湿式精錬は精錬したい(分離したい)対象物を水溶液中に入れます。
水溶液中で化学反応をさせることで金属を分離、沈殿させていきます。
非常に分かりやすく簡単そうですね。
ただ水溶液中に入れとくだけ!?誰でも出来そうだけど・・・
しかしながら化学薬品を用いて処理を行うため非常に危険かつ難しいのです。
化学反応によって有害なガスが出たり反応熱によって非常に高温になる可能性もあります。
対象物と化学薬品の成分によっては混ぜ合わせると非常に危険なものもあります。
『混ぜるな危険!!』まさにこれですね。
素人がやるには大変危険な処理と言えます。
反応によってはノックス(窒素酸化物Nox)が出ることもあります。
ノックスとは窒素原子と酸素原子が結合して生成される物質の総称です。
要するに有害ガスです。吸い込んだりすると大変危険です。
廃液の処分
昨今の環境規制の強化により湿式精錬で使用した廃液の処理も大変なのです。
酸、アルカリの水溶液を使用して処理を行いますが
その中にはシアン化合物の様な環境規制物質を用いるケースも存在します。
単に酸、アルカリ水溶液であれば中和をして排水処理を行えますが湿式精錬で用いるということは
不純物も混入する恐れが大いに考えられます。
水溶液中に他の金属が混入したりすると簡単に廃液処理を行えないので更にその水溶液中から
混入物を除去したりしないといけません。
湿式精錬の種類
湿式精錬とひとくくりにしてもその工法や手順は様々あります。
まず、着目しなくてはいけないのが金属の性質です。
対象物である混合物が何と何の混合物なのか、
ほかに混ざりものがないか見極める点もすごく重要です。
次いで物質の状態。
固体から液体にして分離したいのか、液体から固体にしたいのか、
最終的にどのような状態で抽出したいのか。
これによっても精錬の方法が変わってきます。
精錬の方法ですが一般的なものを列挙していきますね。
浸出法、沈殿分離法、溶媒抽出法、電解精錬・・
更に細かく精錬したい場合は乾式精錬や分離法を組み合わせて精錬してきます。
湿式精錬は【精錬】を行うための一種の手段であります。
あくまで目的は必要な金属を純度で高い状態で欲しいわけですので様々な工法を組み合わせて
精錬を行うことになるのがベストだと言えます。
金属を再利用したいならエコマテリアル
皆さんいかがでしたでしょうか。今回は湿式精錬についてお話していきました。
湿式精錬とはどういった工法なのか少しでもお分かりいただけたら幸いです。
「混合物があるのだけど、この金属を分離してほしい・・」
「自分たちでやるのは危険だし知見もないから・・」
「ほかの精錬技術があるか提案してもらいたい・・」
このページを見ている人の中にはそんなお悩みをお持ちの方もいると思います。
湿式精錬の処理は一歩間違えると大変危険な処理です。
そんな際は是非『株式会社エコマテリアル』にお問い合わせいただければ
お客様のご要望に沿ってプロがご提案させて頂きます。
また、些細な質問やこんな材質のモノやこんな形状なんだけど、こうにしたいんだというご要望もお気軽にご相談くださいませ。
今回もご覧になっていただきありがとうございました。