クローズド・ループ・リサイクルとは?鉄は無限にリサイクルできる
クローズド・ループ・リサイクルとは、材料を何度でも同じ性質で使用できるリサイクル方法のことです。
特に鉄は、性質を落とさずに何度でもリサイクル可能なため、環境負荷を大幅に低減する優れた材料です。
この記事では、鉄のリサイクル工程や日本が抱える環境課題について詳しく解説し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを紹介します。
クローズド・ループ・リサイクルの具体的なメリットと、重要性について理解を深めていきましょう。
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目次
無限にリサイクルできる「クローズド・ループ・リサイクル」
「クローズド・ループ・リサイクル」は、リサイクルされる材料が何度でも同じ性質で使用できる環境に優しいリサイクル方法です。
特に鉄は、優れたリサイクル性能により最適な材料と言えます。鉄製品は、使用後も品質を落とさずに何度も再生可能であり、環境負荷の低減に大きく貢献しています。
このリサイクル方法の大きなメリットは、資源の無駄遣いを極限まで減らし、持続可能な材料利用が可能になることです。
たとえば、古い自動車や使われなくなった鉄道レールも、新たな鉄製品として生まれ変わります。
こうした方法を採用することで、新しい原料の採掘を減らし、エネルギー消費の削減にも繋がるのです。
「クローズド・ループ・リサイクル」は、鉄だけでなく他の材料にも広がりつつありますが、特に鉄はリサイクル時の品質低下が少ないため、何度でもリサイクルできます。
これが「無限にリサイクル可能な材料」として鉄が注目される理由です。
この循環が実現することで、より持続可能な社会の構築が期待されます。
鉄がリサイクルされる工程
鉄のリサイクルは「クローズド・ループ・リサイクル」により効率的に行われています。
この一連の工程は環境負荷を低減し、資源の有効利用を促進する重要な工程です。
それでは、具体的な工程を見ていきましょう。
ゴミの中から磁石を使って鉄を選別
鉄のリサイクルの最初の工程は、ゴミの中から鉄を選別することです。
鉄は磁性を持っているため、磁石を使用して簡単に他の素材と分けられます。
これにより、鉄を効率的に回収することが可能となり、リサイクルの効率が大幅に向上します。
たとえば、大規模なリサイクル施設では、ベルトコンベアに取り付けられた強力な磁石が使用され、鉄を迅速に選別するのが一般的です。
このような選別方法は、鉄のリサイクル率を高める重要な技術です。
選別した後は鉄をスクラップにする
選別された鉄は次の工程でスクラップ処理されます。
ビルや自動車、家庭から集められた鉄製品は、ギロチンシャーやシュレッダーを使って適切なサイズに切断・粉砕されます。
ギロチンシャーは大型の鉄構造物を効率的に切断する装置であり、シュレッダーは電化製品や小型の鉄製品を粉砕するのに特化している装置です。
この段階で、鉄はリサイクルしやすい形に加工され、次の工程である融解に備えられます。
鉄を転炉・電炉で融解
選別・スクラップ処理された鉄は、次に転炉や電炉で高温により融解されます。
この工程は、鉄の中に含まれる炭素やその他の不純物を除去し、純度の高い鉄を得るための工程です。
転炉や電炉で鉄を溶かす際には、酸素を吹き込み、化学反応を促進させることで、不純物を効果的に取り除けます。
新しい鉄素材に再製品化
融解された鉄は次に、新しい鉄素材として再製品化されるのが一般的な流れです。
この工程では、溶けた鉄を連続鋳造設備で鋼片(スラブ、ブルーム、ビレット)に固め、それをさらに加熱して圧延機でさまざまな形に成形します。
こうして得られた新しい鉄素材は、鋼板、建築資材、さらには自動車の部品など、幅広い用途に利用されていくのです。
製品として生まれ変わる
再製品化された鉄は、多様な用途で新たな製品として生まれ変わります。
例えば、建物の構造材、自動車の部品、家庭用のフライパンなどがその一例です。
このように再利用された鉄製品は、新たなライフサイクルを開始し、持続可能な資源利用に貢献します。
これにより、鉄の無限リサイクルが実現され、環境負荷の軽減にもつながります。
クローズド・ループ・リサイクルを通じて、鉄は繰り返し価値ある製品として利用され続けるのです。
鉄に関する日本が抱える環境課題
鉄は、クローズド・ループ・リサイクルによって効率的にリサイクルされる材質ですが、日本にはいくつかの課題があります。
これらの課題に取り組むことで、より持続可能な社会の実現が期待されます。
鉄鋼業は二酸化炭素排出量が最も多い産業
鉄鋼業は、二酸化炭素排出量が最も多い産業の1つです。
鉄は鉄鉱石を石炭で還元して作られるため、この過程で大量の二酸化炭素が発生します。
2016年には、日本の全二酸化炭素排出量約12億トンのうち、鉄鋼業が占める割合は約16%にも達しました。
このような高い排出量を削減することが、脱炭素社会の実現に向けた重要な課題となっています。
クローズド・ループ・リサイクルを活用することで、環境への負担を軽減し、持続可能な産業を目指す必要があります。
二酸化炭素の排出量を削減できる
クローズド・ループ・リサイクルを通じて鉄をリサイクルすると、二酸化炭素の排出量を大幅に削減する効果が高いです。
新たに鉄を製造する場合、鉄鉱石の採掘から製造に至るまで大量のエネルギーを消費し、多くの二酸化炭素を排出します。
一方、鉄スクラップをリサイクルして新たな製品を作る場合、必要なエネルギーが大幅に減り、結果として二酸化炭素排出量を約75%削減できます。
これにより、環境負荷を軽減しながら、持続可能な鉄の利用が可能です。
日本では高層ビルの解体や都市の再開発から多くの鉄スクラップが発生しており、これを積極的にリサイクルすることで、二酸化炭素排出量削減に貢献できます。
日本のリサイクル鋼材の生産比率を欧米に近づけられる
日本のリサイクル鋼材の生産比率を欧米並みに引き上げることは、環境負荷の軽減において重要です。
アメリカでは、鉄スクラップから作られたリサイクル鋼材の生産比率が70%近くに達し、EUでは約40%に及びます。
一方で、日本のリサイクル鋼材の生産比率は約25%と低水準です。
この差を縮めるためには、リサイクル技術の向上やリサイクル鉄材の利用促進が不可欠です。
リサイクル鋼材の比率を上げることで、日本の鉄鋼業の二酸化炭素排出量を大幅に削減し、脱炭素社会への移行が加速します。
これにより、環境保護と経済成長を両立させる持続可能な未来が期待できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「クローズド・ループ・リサイクル」について、詳しく解説しました。
鉄は無限にリサイクルできる材料であり、環境負荷の軽減に大きく貢献します。
鉄のリサイクル工程は、磁石を使った選別から、スクラップ処理、融解、新素材への再製品化といった一連の流れで構成されており、これにより鉄は何度でも再利用が可能です。
また、日本が抱える環境課題として、鉄鋼業の二酸化炭素排出量削減やリサイクル鋼材の生産比率向上が挙げられます。
これらの課題に取り組むことで、持続可能な社会の実現に一歩近づくことができるでしょう。
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