産業廃棄物と有価物の違いとは?総合判断説についても徹底解説!
産業廃棄物と有価物の違いは、単に「不要か有用か」という基準だけでは判断できません。
事業活動の中で生じる廃棄物が産業廃棄物として扱われるか、それとも再利用や取引が可能な有価物として認識されるかは、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。
この記事では、それぞれの定義や違い、そして総合判断説に基づく判断基準について詳しく解説します。
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廃棄物の定義
廃棄物とは、一般に使用済みの物品や不要となった物質の総称であり、廃棄物処理法において具体的に定義されています。
この法律によれば、廃棄物とはごみや粗大ごみをはじめ、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体など、固形状または液状の不要物のことです。
また、廃棄物はその性質や発生源によって「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されます。
とくに、事業活動によって生じる廃棄物は産業廃棄物とされ、排出事業者がその処理責任を負うことが義務づけられています。
これに対し、家庭や日常生活から出るものは一般廃棄物とされ、市町村がその処理を担当しているのが現状です。
さらに、廃棄物は単に不要であることが前提であり、昭和46年の通知によって、その排出実態から客観的に不要物と判断されるものとされています。
有価物の定義
有価物とは、その名の通り何らかの価値を持ち、取引が可能な物を指します。
法律で明確に定義されているわけではありませんが、一般的には金銭的利益をもたらす可能性がある物として扱われるのが通常の場合です。
たとえ不要になったものであっても、再利用やリサイクルが可能であれば、それは有価物として認識されることがあるので理解しておきましょう。
例えば、画面が割れたスマートフォンが一見使えなくなったように見えても、修理を施せば再び利用可能ですし、部品として再利用することも可能です。
このように、まだ利用価値が残っている場合、その物は有価物と見なされます。
その他、金属くずやプラスチックなども、リサイクル素材としての価値が認められる場合、有価物とされることもあるので注意しましょう。
一方で、価値を持たない物、たとえば腐敗した食材や使用済みのティッシュペーパーなどは、有価物としての判断基準を満たしません。
このような物は、有価物ではなく廃棄物と見なされ、廃棄物処理法に基づいて処理されることになるでしょう。
したがって、有価物として認識されるかどうかは、その物の再利用可能性や市場価値に大きく依存していると言えます。
有価物の扱いは、産業廃棄物とは異なり、廃棄物処理法の適用を受けませんが、その処理にあたっては、物の種類や性質に応じた適切な方法を選ぶ必要があります。
これにより、環境負荷の低減や資源の有効活用が図られるのです。
産業廃棄物と有価物の違い
産業廃棄物と有価物の違いは、単に不要か有用かという基準だけでなく、多角的な視点から判断されます。
産業廃棄物は、企業の活動によって生じる廃棄物であり、法的に処理が求められるものです。
一方、有価物は、その物質自体が再利用や売却によって価値を持つ場合に該当します。
しかし、この違いは単純ではなく、昭和52年の法改正以降、「総合判断説」という考え方が採用されています。
この説では、物質の占有者の意思やその物質の性状など、複数の要素を総合的に勘案して判断が下されるといった仕組みです。
このため、同じ物質であっても状況次第で産業廃棄物と有価物のどちらに該当するかが異なる場合があります。
総合判断説について
総合判断説とは、産業廃棄物と有価物を区別するための基準として、多くの要素を総合的に考慮する考え方です。
この説は、昭和52年の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正により導入されました。
それ以前は、廃棄物は客観的に不要とされるものと単純に判断されていましたが、現在では、廃棄物か有価物かの判断には複数の要素が関わるため、その境界線は非常に曖昧で複雑です。
総合判断説では、まず「物の性状」が重要視されます。
物質が再利用可能であるか、または環境保全基準を満たしているかどうかが確認されます。
次に、「排出の状況」や「通常の取扱形態」も重要な要素です。
これらは、計画的に排出されるかどうかや、市場での需要が存在するかどうかを評価します。
また、「取引価値の有無」も重要です。
物が有償で取引されているかどうか、そしてその取引が合理的であるかが検討されます。
そして最後に、「占有者の意思」も考慮されます。
これは、物を再利用する意図が明確かどうかを確認するものです。
これらの要素を総合的に勘案して、物質が産業廃棄物なのか有価物なのかを判断します。
このような多角的な視点からの判断が必要となるため、同じ物質でも状況や環境によって判断が異なる場合があります。
また、取引価値の有無が特に重要視されることが多いですが、他の要素も無視できません。
例えば、適切な品質管理がされていない場合、有価物とみなされないこともあります。
したがって、産業廃棄物と有価物の区別には慎重な判断が求められます。
産業廃棄物か有価物かをめぐる判例「おから事件」
「おから事件」は、産業廃棄物と有価物の境界線がいかに曖昧であるかを示す代表的な判例です。
この事件では、豆腐製造の際に生じる「おから」を、業者が無許可で回収し、飼料や肥料として有償取引していました。
業者側は、おからは「専ら物」として産業廃棄物の許可が不要であると主張しましたが、最終的に最高裁判所はこれを廃棄物と判断しました。
この判決は、総合判断説の重要性を再確認させるものであり、物質が有償で取引されていたとしても、その取引が廃棄物処理法に違反していないか、また環境保全に適しているかを慎重に検討する必要があることを示しています。
このケースでは、無許可での回収と取引が不法投棄のリスクを伴うものであり、最終的に廃棄物と認定される結果となりました。
このように、産業廃棄物か有価物かを判断する際には、単なる取引の事実だけでなく、総合的な視点からの慎重な判断が求められるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
産業廃棄物と有価物の違いについて理解が深まったのではないでしょうか。
産業廃棄物は法的に処理が求められる一方、有価物は再利用や売却が可能なものとして扱われます。
しかし、その境界線は単純ではなく、「総合判断説」に基づいて慎重に判断される必要があります。
同じ物でも状況次第で扱いが変わることがあるため、物質が産業廃棄物か有価物かを判断する際は、複数の要素を総合的に考慮することが重要です。
とくに、取引価値や再利用の可能性を正確に見極めることが、適切な処理と環境保全につながるのです。
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