【解説】金属の3Rと鉄がリサイクルされる仕組み
日本政府によるカーボンニュートラル宣言や地球温暖化の進行により、リデュース・リユース・リサイクルの「3R」に取り組む企業が増えています。
プラスチックや繊維など、さまざまな素材がリサイクルされていますが、金属、とりわけ鉄はリサイクルに適した素材です。
こちらの記事では
- ●リデュース・リユース・リサイクルの意味
- ●金属をリサイクルする2つの方法
- ●鉄をリサイクルする工程
について解説します。
エコ・マテリアルでは金属スクラップに関する動画をYouTubeで配信しています。
鉄スクラップを買い取りしてもらった動画もあるので、こちらもあわせてご覧ください。
目次
3Rとは
3R(スリーアール)とは、以下3つの言葉の頭文字をあわせた言葉です。
- ●Reduce(リデュース)
- ●Reuse(リユース)
- ●Recycle(リサイクル)
ひとつずつ解説します。
Reduce(リデュース)
Reduce(リデュース)とは「減らす」を意味する英語です。
ゴミの量を減らす、モノを生産する際に使用する材料の量を減らすことがリデュースにあたります。
寿命の長い製品づくりや小型化はゴミや材料の量を削減につながるため、リデュースに関わる活動といえるでしょう。
ゴミをなるべく生まないようにするリデュースは、3Rの中でもっとも重要な活動とされています。
リデュースの取り組み例
- ●エコバッグを使用してレジ袋が捨てられる量を減らす
- ●食材は必要な分だけ購入し、食品ロスを減らす
- ●耐久性の高い製品を作り、ゴミの削減につなげる
- ●機械や建築物は定期的にメンテナンスを実施し、故障や老朽化を遅らせる
Reuse(リユース)
Reuse(リユース)とは「再利用」という意味の英語です。
使用済みの製品を調整して再び使うことをリユースといい、中古車販売や空き店舗の設備をそのまま活用する居抜き出店がその例です。
また故障してしまった自動車やパソコンなどから、まだ使える部品を取り出して販売しているものを、リユース品と呼びます。
リユースの取り組み例
- ●使わなくなったものをすぐに捨てず、必要としている人に譲る
- ●故障した自動車から使えるパーツを取り出して再利用する
- ●電化製品の設計を、パーツをリユースしやすい構造に設計する
Recycle(リサイクル)
Recycle(リサイクル)とは「再循環する」という意味の英語です。
リユースは「そのままの形で再利用すること」をいいますが、リサイクルは「使用済みの製品を資源として新しいモノを作ること」を指します。
日本では中古品を売買するお店を「リサイクルショップ」と呼びますが、3Rが持つ意味からすればリユースショップと表現するのが正確でしょう。
ただし英語では、中古販売のお店をsecond hand shopと表現します。
リサイクルの取り組み例
- ●回収したペットボトルから繊維を作り、服を製造する
- ●牛乳パックからトイレットペーパーを作る
- ●分別やリサイクルしやすい商品づくりを行う
- ●使用済みの電化製品からレアメタルを回収して新たな製品を作る
- ●金属スクラップを精錬して再び鋼材にする
金属をリサイクルする方法は2通り
金属は繰り返し使用できる素材で、以下2つの方法でリサイクルされています。
- ●回収
- ●精錬
ひとつずつ解説します。
回収の仕組み
回収とは、廃棄された製品から金属を取り出すことをいいます。
回収には、目視で確認して金属を回収する方法と、水溶液に浸して金属を分離させて抽出する方法があり、状況によって使い分けられています。
たとえばスマホやパソコンの基盤に使用されている金は、小さく量が少ないため手で取り外して回収することが困難です。
しかし特殊な水溶液に基盤をまるごと浸してすべて溶かし、あとから金だけを抽出すれば回収することが可能になります。
精錬の仕組み
精錬(せいれん)とは、不純物を含んだ金属から純度の高い金属を取り出すことをいいます。
精錬には
- ●乾式精錬(かんしきせいれん):加熱して溶かし金属を分離する
- ●湿式精錬(しっしきせいれん):水溶液に浸して金属を分離する
の2通りがあり、金属にあわせて精錬方法を決めます。
一般に精錬しやすいといわれている金属は、以下の種類です。
精錬しやすい金属の例
- ●銀
- ●銅
- ●鉄
- ●アルミニウム
金属によって精錬のしやすさは異なり、業者の得意不得意もあるため、同じ金属でも引取り可否の判断は分かれます。
読み方が同じで意味も似ている言葉に「製錬」がありますが、こちらは鉄鉱石から金属を取り出す工程のことを差しています。
精錬については以下の記事で詳しく解説しています。
鉄をリサイクルする工程
金属のなかでもリサイクル率が高い鉄。
以下では、鉄をリサイクルする一連の流れを解説します。
1.回収・分別
資源ごみとして回収された空き缶や、解体現場で発生した鉄骨などの金属ゴミは、スクラップ業者によって回収されます。
この段階では複数の金属が混ざっているため、磁石を使って鉄を選別します。
鉄以外の金属は磁石につかないため、X線や電磁誘導を利用してさらに分けられていきます。
回収された鉄スクラップは、圧縮して板状にする、切断や粉砕するなど、リサイクルしやすいように加工します。
2.熔解
分別された鉄スクラップは、電気炉の中で溶かされ、ドロドロになります。
溶けた鉄は1500度以上と非常に高温になるため、電気炉の中を覗いてみることはできません。
目で状態を確認できないため、音や管理室のモニターに表示される数字を見ながら作業します。
鉄スクラップは炉の中で精錬して不純物を除去し、酸素を吹き込んだりマンガンや炭素などの添加物を入れて成分調整を行います。
3.半製品化
成分調整が終わった鉄は炉から取り出され、鋼材の原料となる「半製品」になります。
この半製品は「鋼片」と呼ばれ、形状によって以下の3種類に分けられています。
- ● スラブ:厚手の板
- ● ブルーム:大型の棒
- ● ビレット:小型の棒
4.製品化
成型され鋼片となった鉄は、再び加熱されて製品化されます。
鋼片は加熱炉で1000度の高温まで加熱され、圧延機にかけて伸ばしながら形を整えます。
成型された後は冷却して、必要に応じて切断を行います。
製品検査をクリアしたら出荷です。
こうして鉄は、再び自動車やビルとなって私たちの暮らしを支えています。
【まとめ】金属はリサイクルに適した素材
リデュース・リユース・リサイクルと鉄のリサイクル工程について解説しました。
金属と3Rまとめ
- ●リデュース:機械や建築物はメンテナンスを実施し、故障や老朽化を遅らせる
- ●リユース:再利用を見越した製品設計を行う
- ●リサイクル:金属スクラップは回収して再製品化する
金属はリサイクル率の高い素材です。
特に鉄は回収しやすく、リサイクルによって品質低下が起こりにくいことから、何度も繰り返して利用できます。
資源を大切にするため、不要な金属をゴミとして捨てずに、スクラップ業者に回収してもらうことをおすすめします。
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