金属不足はなぜ起こる?4つの原因と対策を徹底解説
石油、石炭、天然ガスなど、資源には限りがあります。
鉱石を採掘して得られる金属も、そんな限りある資源のひとつです。
社会のデジタル化が進むにしたがって、金属の需要は増加の一途をたどっており、枯渇リスクが指摘されています。
こちらの記事では、金属が不足する原因や金属不足によって引き起こされる問題と、その対策について解説します。
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金属不足が起きている4つの原因
金属不足が起こる原因には、埋蔵量の減少や供給体制の問題などがあります。
以下では4つの原因について解説します。
埋蔵量の減少
日本もかつては金や銀などの鉱物の産出国でした。
学校の授業で「石見銀山」や「佐渡銀山」について学習した記憶がある方もいるでしょう。
現在の日本にも金が採掘されている鉱山はありますが、鹿児島県の菱刈鉱山のみとなっています。
産出量が減少し、採算が合わなくなった鉱山は閉山していきます。
一方で世界での金属消費量は年々拡大しており、不足が懸念されています。
中国では1989年に6,000万トンだった鉄鋼の消費量が、2020年には9億トンまで拡大しています。
またインドやベトナムなどの新興国での需要も高まっています。
環境省が平成23年に発表した「環境白書」に記載されている2011年時点での可能採掘年数は
- ●鉄鉱石:70年
- ●鉛:20年
- ●銅:35年
- ●金:20年
- ●クロム:15年
とされており、金属の埋蔵量は年々減少しています。
リサイクルされない金属の存在
金属、なかでも鉄は、リサイクルしやすい素材で繰り返し再生利用されています。
しかし金やレアメタルは電子基板にわずかな量しか使用されないことから分離が難しく、廃棄されてしまうことが多くなっているのが現状です。
金属の枯渇リスクを下げるには、こうした金属の回収・リサイクルを進めることが求められています。
戦争の影響
戦争も金属の供給に影響を与えます。
2022年2月に始まったウクライナ戦争によって、金属の供給不足が心配されています。
ウクライナは鉄鉱石やボーキサイト、マンガン鉱石などの産地ですが、戦争によって資源の供給が止まったり、価格が高騰したりする恐れがあります。
また日本は銀歯やめっきの原材料となるパラジウムを輸入に頼っていますが、2020年時点の調査によれば輸入量全体の43%はロシア産のものを使用しています。
戦争によって資源の調達が滞ると、産業全体に影響が及ぶ可能性があるのです。
生産体制の不足
電力や労働問題によって、金属の生産体制が不足する事態も起きています。
南アフリカ共和国は、ダイヤモンド、プラチナ、マンガン、クロム、鉄鉱石など数多くの鉱物資源の産出国です。
アパルトヘイトの撤廃後、経済は成長していますが、鉱業においては電力と労働環境の問題があることで生産体制が整えられずにいます。
急激な経済成長によって電力が不足しているため、休止していた発電所を再稼働させたり、既存の発電所の設備を増強したりしていますが、必要な電力量には追いついていません。
また労働組合の勢力争いも、生産体制に悪影響を与えています。
南アフリカ共和国の鉱業には2つの労働組合があり、領域争いが続いています。給料や労働環境への不満からストライキを起こすこともあり、工場の稼働が停止する事態も起こっています。
金属資源が不足すると起きる問題
金属は人々の暮らしになくてはならない重要な資源です。
では金属が不足した場合には、どのような問題が起こるのでしょうか。
以下では、金属不足が引き起こす2つの問題について解説します。
価格の高騰
金属の需要に対して供給が追いつかなくなると、価格高騰が起こります。
中国で急激に銅の需要が拡大した2002~2010年は、銅の価格が激しく上下しています。
産出量の減少以外にも、戦争や労働組合のストライキ、輸出規制によって金属が不足すると、価格上昇が起こります。
しかし鉱石の価格が低迷すると、採掘しても採算が合わないことから、新たな鉱山の開発が進まなくなり、資源不足に陥ります。すると今度は価格が高騰する問題に繋がるのです。
金属価格が高騰すると、自動車や家電など金属を使用する製品の価格も上昇するため、安定供給できる体制が必要です。
商品が製造できない
テレビ、キッチングッズ、住宅など、暮らしのあらゆるところに金属が利用されています。そのため金属資源がなくなってしまうと、製品が製造できず、経済や生活にマイナスの影響を与えることになります。
日本はかつて鉱山資源を豊富に持っていましたが、現在は輸入に頼っています。
戦争や輸出規制によって金属を入手することができなくなると、商品の製造ができなくなり、経済にとって大きな打撃となるでしょう。
実際に、トヨタや日産など各自動車メーカーは、半導体不足が原因で生産体制に遅れが生じています。
金属の供給がスムーズにいかなくなると、各産業への影響が大きいため、安定供給できる体制の支援や、調達先を分散するなどの工夫が必要です。
金属資源の枯渇への対策
金属は限られた資源であり、輸出規制や労働者のストライキなどによっても供給量が左右されます。
では、金属を安定的に供給するためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
以下では3つの対策方法を解説します。
都市鉱山の活用
日本には多くの地上資源が眠っていると言われています。
鉱物資源のほとんどを輸入に頼っていますが、使用済みの電化製品には、回収されていないレアメタルが存在しています。
2008年に国立研究開発法人「物質・材料研究機構」が発表した資料によれば、日本には金6,800トン、銀60,000トンなど、世界の資源国に劣らない鉱物資源がある、という算定結果が出ています。
都市鉱山に眠る金属を廃棄せず、うまく回収する技術を確立できれば、資源の安定供給に繋がっていくでしょう。
リサイクルの推進
金属を回収して再利用するには、リサイクルの推進が必要です。
廃車となった自動車は、ドアやエンジンなどがリユースされており、再資源化率がおよそ95%と高い数字になっています。
また業務用コピー機を導入する企業の多くはリース契約であり、使用後のコピー機はメーカーや販売店によって回収、リユースされています。
自動車やコピー機のように、使用済み製品が回収、適切に処理されることで金属のリサイクルが進み、都市鉱山がうまく活用されるようになるでしょう。
代替素材の開発
金属をプラスチックで代替する技術の開発が進められています。
プラスチックの製造技術が進み、自動車のエンジンのように高温になる場所でも使用可能なパーツが作られるようになりました。
金属に比べて安価で成形がしやすく、サビが発生しないなどメリットが多いことから、プラスチックパーツへの置き換えが進んでいます。特に、軽量化が重要視される航空機のパーツでは、積極的に取り入れられています。
資源枯渇リスクに備え、今後も金属の代替素材の開発が期待されます。
【まとめ】金属不足解消のカギはリサイクルと代替素材
金属不足が起きている原因
- ●鉱石の埋蔵量の減少している
- ●リサイクルされず廃棄される金属がある
- ●戦争の影響で輸入量が左右される
- ●生産体制が整っていない
金属資源が不足すると起きる問題
- ●金属価格が高騰する
- ●商品の製造が止まる
金属資源の枯渇への対策
- ●都市鉱山を活用する
- ●リサイクルを推進する
- ●代替素材を開発する
金属は限りある資源であり、年々埋蔵量が減っています。一方で、需要量は増加の一途をたどっており、枯渇リスクに備えた対策が必要です。
急激に消費が進むなか、効率的なリサイクル技術や代替素材の開発が期待されています。
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