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Column環境教育とは?学校での取り組み事例を紹介

環境教育とは?学校での取り組み事例を紹介

平成18年の教育基本法改正や、平成19年の学校教育法改正以降、日本では環境教育を重要な学びとして捉えてきました。

地球温暖化が加速し、脱炭素やSDGsへの動きが進む昨今では、その重要性が一層増しています。

では実際の教育現場では、環境に対する理解と行動力を深めるために、どのような活動を行っているのでしょうか。

こちらの記事では、小中学校で行われている環境教育の取り組み事例や、環境を考慮して作られた学校「エコスクール」について解説します。

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こちらもあわせてご覧ください。

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学習指示要領での「環境教育」

学校で取り組むべき環境教育については、平成23年以降の学習指導要領に記載されています。

小学1・2年生では生活科で扱われ、身近な生き物を通して自然を大切にすることや関わり方を学びます。

低学年では生活科のみですが、学年が上がるにつれて理科、社会科、家庭科など複数の教科に環境教育が組み込まれていきます。

中学校や高校ではより高度な内容となり、プラスチックや金属の再利用や、国際的な観点で資源やエネルギー問題を考える活動を実施。

また学習指導要領の中には環境教育だけでなく、持続可能な開発のための教育(ESD)についても記載されており、社会問題を自分事として捉える価値観の育成が行われています。

環境教育の取り組み事例

では小学校で行われる環境教育にはどのようなものがあるでしょうか。

以下では、環境省の「環境教育実践事例集」に掲載されている教育内容や単元のねらいをご紹介します。

小学校低学年

小学校1・2年生では、植物を育てたり自然の中で遊ぶことで環境に対する興味を養います。

東京都大田区にある小学校では、子ども達自身が育てる植物を選び、世話をする活動を生活科の中で取り組みました。

子ども達はトウモロコシやひまわりを育て、成長の様子を観察。

実や種を収穫した後はポップコーンにして食べる、皮で人形を作るなど、資源を余さずに活用することを体験を通して学んでいます。

小学校中学年

3・4年生では生命の大切さやゴミ、エネルギーの問題を学習します。

岡山県のある小学校では、太陽の熱で調理を行う「ソーラークッカー」を使った調理実習を行いました。

ソーラークッカーの組み立てから調理まで子どもたち自身が行うことで、エネルギーへの理解を深めます。

学校の備品である電化製品とメーターをつなぎ、待機電力を測定する実験も併せて実施。

環境問題に対して自分ができる取り組みを考える機会となりました。

小学校高学年

5・6年生では、環境保全について学びを深めます。

洗剤が環境に与える影響を子どもたちに周知するため、石鹸作りに取り組んだ小学校があります。

服の手入れ方法や洗剤の種類を学ぶステップを踏んだ後、石鹸会社の協力を得て、給食の廃油を使用した石鹸を作りました。

服の洗い方から洗剤の種類、環境に与える影響と徐々に学びを深めた結果、

調理実習では道具に付いた油を紙で拭き取ったり、合成洗剤を使わずにお湯でフライパンを洗ったりする光景が見られるようになりました。

【地域と連携】小・中学校が取り組む環境教育

上記では、学校の中での環境教育について取り上げご紹介しました。環境教育では外部から講師を招いて校内で講座を行うこともあれば、校外で活動することもあります。

以下では学校の枠組みを超えて、地域と連携して取り組んだ環境教育の活動を、小・中学校の事例集からご紹介します。

ふるさとの自然を守る活動

石川県能美市立根上中学校では、地元の環境保全クラブと協力して松林の手入れを行い、環境保全のあり方を学んでいます。

1年生はまず能美の松原サポートクラブの講話を聴き、環境について知り、2・3年生になると実際に雑草の刈込や松葉かきで手を動かし、松林の保全活動を体験します。

3年間を通してひとつの活動を続けることや、集めた松葉を堆肥に利用して栽培した野菜を給食に提供することで、自然の循環が身近に感じられ、持続可能な環境教育が実現できているのです。

「幻のコメ」復活への取り組み

石川県加賀市立湖北小学校では、栽培が途絶えてしまった「幻のコメ」を復活させる取り組みを、地元農家らと一緒に取り組む活動を行いました。

参加したのは5年生で、指導を受けながら田植え、草むしりや肥料を与えるといった手入れ、収穫までをこなします。農業への理解とともに人とのつながりも深められ、環境への理解が深まる取り組みとなりました。

ボランティアバンクの活動

栃木県佐野市立北中学校では「ボランティアバンク」という活動を実施しています。

1つの決められたボランティアに全員で取り組むのではなく、生徒がそれぞれの興味関心にあった、自分が取り組みたいボランティアを行う、というものです。

同じテーマに興味を持った1~3年生が共同で活動するため、異年齢交流が生まれることもねらいのひとつ。生徒同士が助け合いながら川の清掃や農園の緑化活動に取り組み、環境保全への理解を深めています。

【エコスクール】環境教育を推進する学校

以上のように、学校の中では環境問題に対する理解や保全活動を促すカリキュラムが取り入れられてきました。近年ではさらに踏み込み、学校の環境自体に太陽光パネルや省エネシステムを取り入れた「エコスクール」が推進されています。

以下ではエコスクールの概要や取り組みについて解説します。

エコスクールとは?

エコスクールとは、環境を考慮して作られた学校のことです。

1994年にデンマークで発祥し、日本では1997年にモデル事業がスタート。2017年からは「エコスクール・プラス」に改称して運用されています。

現在まで全国1,000ヶ所以上の学校がエコスクールの認定を受けており、環境教育や学校設備のCO2対策などを実施。

子ども達だけでなく、地域住民にとっての環境・エネルギー拠点となることを目指した工夫が施されています。 エコスクールでは、施設・運営・教育の3つに、環境問題の視点を組み込んだ設計が求められます。

施設面:やさしく造る

  • ●学習空間、生活空間として健康で快適である
  • ●周辺環境と調和している
  • ●環境への負荷を低減させる設計・建設とする

運営面:賢く・永く使う

  • ●耐久性やフレキシビリティに配慮する
  • ●自然エネルギーを有効活用する
  • ●無駄なく、効率よく使う

教育面:学習に資する

  • ●環境教育にも活用する

このほか、エコスクールとして認定を受けるには要件を満たす必要があります。

エコスクールの認定を受けるには

エコスクールとして認定を受けるためには、学校施設が環境・エネルギー教育の教材として活用できるよう、整備されている必要があります。

具体的には以下の事業の実施が必要です。

  • ●太陽光発電
  • ●太陽熱利用
  • ●その他新エネルギーの活用(風力、バイオマス発電等)
  • ●木材利用
  • ●自然共生

など。

認定を受けた学校は、周辺の環境とのバランス、負荷低減のために以下のような環境整備を行っています。

環境整備の例

  • ●校舎に地元の木材を使用
  • ●ソーラー発電で温めたプールでの水泳授業
  • ●給食の残飯を堆肥化

そのほかWebシステムを構築し、ホームページから太陽光の発電量やエネルギー消費量を閲覧できるようにした学校も。エネルギーを可視化して、環境に意識を向けるための工夫が施されています。

【まとめ】暮らしを守るための環境教育

学校で取り組んでいる環境教育について解説しました。

環境教育まとめ

  • ●環境教育は学習指導要領に記載され、環境保全に意識を向けるための教育が実施されている
  • ●体験を通して、環境問題を自分事として捉えられるよう、単元が設定されている
  • ●環境教育を推進するため、学校のエコスクール化が進んでいる

環境への理解を深め、学習した先で実践に繋げるには、座学に留めず体験に繋げていく事が重要です。

今回紹介した環境教育の事例では、地域住民と共同で地元の自然を守る活動がありました。

知識を深め、自分の暮らしを守れるようになるために、今後はより開かれた体験学習が増えることが期待されます。

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